In principio erat Evolutionis

行動生態学・進化心理学などの勉強ノート・書評

2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『人間進化の科学哲学』その8

第7章「教育の進化」 本章では教育の進化について述べられている.罰がヒト以外でも頻繁に見られるのに対し,教育はヒト以外ではあまり見られない.それゆえ,ヒト特有の教育に特化した心的形質があるのではないかと考えるのが,ナチュラル・ペダゴジー説で…

『人間進化の科学哲学』その7

第6章 「罰の進化」 本章では人間行動進化の実例の一つとして罰の進化を取り上げる.罰の進化はこの20年ほど研究が行われてきており,有力な仮説として「行動修正戦略」としての罰の進化が提起されている.しかし,本章では(他の動植物同様に)人間におけ…

『人間進化の科学哲学』その6

第5章「文化進化のパターン研究」 本章では文化進化のパターン研究を取り上げている.パターン研究の中で最も重要なものが歴史的パターンの研究であり,その方法として用いられるのが系統学(phylogenetics)である.人間行動進化の観点で言えば,ヒトの近…

『人間進化の科学哲学』その5

第4章「文化進化のプロセス研究」 第Ⅱ部は本章と次の第5章で構成されている.第Ⅱ部では文化進化の具体例を検討し,それらを文化の「プロセス研究」と「パターン研究」に分け,本章ではプロセス研究を扱う.まず文化について,Richerson and Boyd (2005, p.…

『人間進化の科学哲学』その4

第3章 遺伝子と文化の二重継承説 文化進化の理論に関して,二重継承説より以前に文化進化を考察したミーム論について触れる.ルウォンティンによる選択の三条件(形質の遺伝,変異,適応度の差異)を遺伝の原理とし,それをドーキンスが自己複製子(レプリ…